暖かい年末ですが、おおみそかは雨となりましたね。みなさまよいお年をお迎えください。年始は1月5日(金)から診療となります。

さて、今年読んだ本の中で、印象に残った3冊を紹介します。
サクリファイス/近藤史恵
自転車ロードレースの世界を舞台にしたミステリー。いかにも伏線らしい伏線がばらまかれているのですが、最大の伏線に最後に気づき、「やられた!」という感じでした。自転車競技の裏事情も興味深かったです。
エトロフ発緊急電/佐々木譲
太平洋戦争開戦までの約1年間を描いた冒険小説。アメリカのスパイである主人公が目的地に向かうまでの展開がスリリングです。また真珠湾奇襲のため戦艦が集まる場面は圧巻。今の日本にいるとあまり感じないことですが、大きな権力や時代の流れの前で個人がいかに無力なことか。しかしそこで懸命に生きる人物たちを粘り強く描いていることこそ、この著者の本領だと思います。
忍ぶ川/三浦哲郎
昭和の恋愛小説です。主人公と妻・志乃の出会いから結婚までが描かれています。登場人物たちの温かさ、主人公のひたむきさ、その言動に胸がジワッと熱くなります。思わず落涙しました。昭和36年発行ですが、こういう名作が読まれなくなっていくのはもったいないなと思います。

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